Tokyo diary

本と映画の記録です

【映画】ヨーヨー•マと旅するシルクロード

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音楽って美しい。人びとって美しい

と、感じさせてくれるドキュメンタリー。世界的なチェロ奏者、ヨーヨー•マ氏と、彼のもとに集った世界各国の音楽家のお話です。彼は幼少期から音楽への天才的な才能を見せたがゆえに、自己選択のないまま音楽家になっていました。大人になってふと気づく。なぜ自分はここにいるのか?なぜ音楽をしているのか?その問いから生まれたのが、シルクロード•アンサンブルだった訳です。 

 

ケマンチェ、中国琵琶(ピパ)、尺八、バグパイプなど、彼のチームメイトは、それぞれの誇りあるバックグラウンドにひもづく楽器を演奏し、東西の伝統音楽と現代音楽を融合させていきます。ヨーヨーマ氏、およびそのチームメイトのインタビューを通して映画が構成されています。彼らや、彼らの国が抱える根深い問題は絶えないのですが、彼らと、彼らの音楽は希望を見いだしています。少なくとも希望につながる可能性を見いだしています。中国、イラン、アメリカ、日本、スペイン•••。国と国の間には複雑性が横たわっていますが、シルクロード•アンサンブルはひとつになり、尊い音楽を生み出しています。それが、観る者の心をつかむのだろう、と思いました。

 

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政治的な独自性は続かない。ベートーヴェン時代の王の名前など誰も覚えていない。だが、言語は文化の一部として残る。音楽は文化の一部として残る

途中の誰かのインタビューでこんな言葉が語られていました。音楽の普遍性を言い表した見事な言葉だと思います。映画の中では北京、イスタンブール、イラン、ニューヨーク、ヨルダン、スペイン、いくつもの国や街でいくつもの音楽が演奏されるのですが、美しい音楽を演奏している人びとの姿はみなほんとうに美しかったです。心からの笑顔が表情に表れて。自分はいまこの瞬間を生きて、この瞬間が喜びに満ちていると、全身で語っているかのようでした。この短いドキュメンタリーをみながら、自分はなぜなんのためにこの世に生まれているのだろう?だとか、ほんとうに心から情熱を注いで自分らしく生きていくってどういうことなんだろう?とか、考えさせられました。正しいことや善いことのために生きていくのも大事だけれども、美しいもののためにも生きていきたいな。少なくとも、美しさを犠牲にする正しさや善さは、ほんものではないな。

 

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