【本】新装版 個を活かす企業-自己変革を続ける組織の条件-
2019年3冊目。
今年は組織論の本も挑戦していきたい。
2007年の著書でありGAFA以前の成功企業がモデルですが学びは多いです。
- 作者: クリストファー A.バートレット,スマントラ・ゴシャール,グロービス経営大学院
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2007/08/31
- メディア: 単行本
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キーセンテンスベースで要約すると、
- 個人の能力に対する信頼が組織運営のすべてである
- 「個を活かす企業」のコンセプトの核心には、「企業は個人の異質性、果ては奇抜性までをも最大限に利用しなくてはならない」ということがある
- そのためには、「服従・契約・コントロール・制約」ではなく、「ストレッチ・規律・信頼・サポート」による行動環境を作り出していく必要がある
- 行動のエネルギー源となる「ストレッチ」と、行動を期限のある行動に変えていく「規律」の間の緊張感が大事(一見、両社は対立概念に見える)。同様に、「信頼」があるから「サポート」を考える、などのように信頼・サポートの組み合わせが大事
- リーダーが問うべきは、①問題は何か?②どのように解決しようとしているのか?③私ができる支援はなにか?
- 学習とは心の枠組みであり、日常のことである(花王元社長・丸田芳郎)
- 重要なスキルは、学ぶことができるが、教えることはできない
- 企業は価値を創造する社会の制度であるという哲学が、個を活かす企業の根底にある
こんなところでしょうか。ハードカバー400p弱の比較的重厚な部類に入る本ですので、不十分だとは思いますが。
これを読んで今後特に考えていきたいと思ったのは、「ストレッチ」と「規律」の緊張関係についてです。このことに関しては以下のような記述も見られました。
- 個人の自発性を引き出すには、自分が関与していることについては「当事者意識を持つ」ように仕向ける。その一方で、強い自己規律も必要である。これは、現場の自発性を企業の全社的方向に合わせ、あちこちに散らばっている起業家精神が混沌とした状態に陥るのを防ぐためである。自己規律は個人が持っている行動規準のことであり、上から課せられる管理はことなるものである
自己規律は服従とは異なるポジティブな概念として本書では語られており、「明確な基準」「フィードバック・サイクルの短縮」「一貫性のある制裁」が自己規律を組織に根付かせる上でのカギだとされていました。
非常に難しいところではありますが、本書の学びをもとに実践していきたいと思いました。
もう一つ、学習の概念を
学習とは心の枠組みであり、日常のことである
として花王の元社長が語っておられます。
これ、ユーミンが紅白でうたった『目にうつるすべてのものはメッセージ』と同じことを言っていますね(!)。
学習とは、学習者が対象からなにかを学び取ろうとした瞬間に発動されるという思想。
これは、自分自身を学び手としてとらえるときには、忘れてはならない思想だと思いました。(一方、教え手(教育者/本書ではリーダー)の立場に立つときには、学びは学び手が学ぼうとしない限りは始まらないとなると、これをどう仕掛けるんだとなってきて本当に難しい・・・)。
ともあれ学び多き本でございました。