Tokyo diary

本と映画の記録です

【映画】リトル•ミス•サンシャイン他

3月多忙につき更新できていなかったが、このひと月ほどの鑑賞映画をまとめておきたい。

 

■リトル•ミス•サンシャイン(2019年9作目)

 

f:id:koheishiozaki39:20190324125919j:plain

アメリカのコメディ炸裂。期待値以上だった。誰もが、いろんなものを抱えながら、生きてることにきづく。

 

 

■ラストレシピ 麒麟の下の記憶(2019年10作目)

 

f:id:koheishiozaki39:20190324125910j:plain

 

二宮和也宮崎あおい西島秀俊綾野剛など豪華キャスト。西島秀俊って哀しそうに笑う役が似合うね。いい話でした。

 

 

空飛ぶタイヤ(2019年11作目)

 

f:id:koheishiozaki39:20190324125828j:plain

 

長瀬くんって意外とちゃんと演技できるんだ(失礼)。中小企業の社長の立場で、大企業と戦う。日本人って大きなものは「悪」って思想があるのかなあ、と、この映画見ながら思っていた。サザンのエンディングテーマよき。

 

 

■人形の眠る家(2019年12作目)

 

f:id:koheishiozaki39:20190324125851j:plain


人の死とは何か?を考えさせられる映画。心肺停止と違い、脳死の場合、家族が同意しないと死の判定がされない。目の前の家族や子どもがその状態になった時、どうするのか。母親役を演じる篠原涼子の演技が圧巻。

 

明らかに多忙が加速しそうだが、いまの時代だから、しっかりと要不要見極めて、余暇の時間を確保しながら毎日を生きたい。

【映画】バトル・オブ・ザ・セクシーズ

2019年8作目。

妻が気になっていた作品ということで自宅で二人で鑑賞。

1970年代アメリカの有名女子テニスプレーヤーであるビリー・ジーン・キングの実話に基づくお話。主演はラ・ラ・ランドなどでおなじみ(?)のエマ・ストーン。メイクやファッションが時代を感じるテイストなっていて、同じエマ・ストーンとは思えないくらいです。

f:id:koheishiozaki39:20190217191324j:plain

女性の地位向上×LGBTがかけ合わさった意外なほどの社会派映画

 

予備知識なしに観たことで、より一層意外に感じたのかもしれませんが、勝手にスポ根系映画かと思っていたので、いい意味で期待を裏切られた感じではありました。

 

まず、当時の全米テニス協会はあからさまな男尊女卑であって、男子の大会と女子の大会の賞金の差は8倍。動員する観客や、そこから生まれる興行収入は同じなのに。そんな格差を目の当たりにしたビリー・ジーン・キングが、仲間の女子テニスプレーヤーと一緒に、独自の女子テニス大会を立ち上げて、反旗を翻すことから話は始まります。

 

もう一つのテーマがLGBT。ビリーは、偶然出会った美容師のマリリンと互いに惹かれあい、夫を持ちながらもマリリンとの関係を深めます。途中、夫は妻・ビリーとマリリンの関係に気づくのですが、それでもビリーを献身的にサポートする夫の心情に、僕は同情してしまいましたが、そこはともかく、ビリーとマリリンの関係の描写から、当時のLGBTに対するアメリカ社会の空気を感じることができます(今でも変わらない部分はあるのかもしれないけど)

 

いずれにしても、今っぽい映画だなーという感想です。ボヘミアン・ラプソディやムーン・ライトしかりなのですが、LGBTテーマの映画がまあ有り体に言えば流行っちゃ流行な感じはしますね。

 

と、多少シニカルに書きはしましたが、

 

時代は変わる。君がいま変えたように。いつか僕らはありのままでいられる。自由に人を愛せる時代が来る

 

と述べられるクライマックスシーンのセリフがこの映画の余韻をぐっと引き締める役割をはたしており、心に残るものがありました。自由を追い求めてきた歴史が人類の歴史だから。

 

 

 

【映画】ブエナ•ビスタ•ソシアル•クラブ★アディオス/グレイテスト•ショーマン

2019年6•7作目。

ブエナ•ビスタ•ソシアル•クラブ★アディオスは自宅DVDで。グレイテスト•ショーマンは目黒シネマにて鑑賞。

 

ちなみに今週•来週と、目黒シネマはグレイテスト•ショーマン1本勝負(1日5回上映/入場料1.000円)。

一周回ってのグレイテスト•ショーマンだから、2週間これ一本勝負だと、きついのでは?といらぬ心配をしてましたが、三連休の中日の本日、15時上映開始の会は、盛況な人入りでした。

 

ブエナ•ビスタ•ソシアル•クラブ★アディオス

f:id:koheishiozaki39:20190210214648p:image

90年代後半〜00年代前半にかけて世界的な熱狂を惹き起こした(らしい)キューバのバンド、ブエナ•ビスタ•ソシアル•クラブ(以降BVSC)の歴史から、2016年にキューバの首都ハバナでバンドとしての活動に終止符を打つまでを追ったドキュメンタリー映画です。

 

僕自身はBVSCは知らなかったのですが、なかなか魅力的なバンドでして、90年代の全盛期でさえ、バンドの主力メンバーはかなり高齢なんですよね。メインボーカルのイブライム•フェレールは、97年のアルバムリリース当時で70歳。2016年のラスト講演まで活動したオマーラ•ポルトゥオンドは現在88歳(97年当時66歳)。

しかしむちゃくちゃカッコよいです。

 

映画は当時のインタビューシーンや、世界各国でのライブシーンなどを追いかけながら進むスタイル。よくこんな映像残してたなと。あっぱれです。キューバ音楽が世界を熱狂させた様子が臨場感を持って伝わってきます。

 

メインボーカルのイブライム•フェレールは、2005年に亡くなりますが、死の4日前まで、周囲の反対を押して、ステージに立っています。その時の映像も記録されていまして、身体は病魔に蝕まれていることが推察されはするのですが、声は最後までほんとうに美しかった。

 

好きなことを始めるには遅すぎることはないのだということや、心から愛することをやりきる人生は尊いのだということを教えてくれる映画でした。

 

真冬の東京ではありますが、BVSCのメロディをかければ、南国キューバへ旅したかのような気分になりました。

 

ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ★アディオス - 映画情報・レビュー・評価・あらすじ | Filmarks映画

 

グレイテスト•ショーマン

f:id:koheishiozaki39:20190210215919p:image

こちらはポピュラー映画。

ミュージカルですね。

そうだなあ、妻とも帰り際会話してましたが、同じミュージカルならララランドかなあ。僕は。

ダンスや映像は悪くなかったですが、ストーリーへの入り込みはララランドに叶わなかった。主人公のヒュー•ジャックマンの行動が、成金感ありすぎて、いまの僕たちの生きる時代には共感性低いのかもしれないな。もう少し彼の内面が見えるとよかったのかもしれないけど。

とはいえ、変な毒なく、楽しく観れるので、家族で観るのにちょうどよい映画なのかもしれないですね。

 

グレイテスト・ショーマン - 映画情報・レビュー・評価・あらすじ | Filmarks映画

【本】未必のマクベス

2019年7冊目。再読。小説は今年に入って初。

 

600ページを超える長編小説ですが、平日の夜、脳が疲れて頭が回らなくなった状態で風呂に入っている時などに少しずつ読み進めて約1ヶ月で再読完了となりました。小説はこのくらい時間をかけて読むのがよいなと思いました。その期間の長さの分だけ、人生の中のデュアルワールドというのか、別の世界を生きていられることになるから。現実世界がどうあれ。

とても好きな小説です。

 

未必のマクベス (ハヤカワ文庫JA)

未必のマクベス (ハヤカワ文庫JA)

 

 

キューバリブレと中文

香港と澳門マカオ)を中心の舞台とするこの小説の醸し出す空気感(atmosphere )に欠かせないのは、Jプロトコル香港に勤務する主人公•中井優一がバーに入るたびに好んで飲むキューバリブレ(ダイエットコークが望ましい)と、会話の中にときどき挟み込む中文(中国語)です。

キューバリブレ。有り体に言えばラムコークでしょうか。このカクテルは〈キューバの自由〉を意味するようで、社会主義国家のキューバにおける自由のカクテルとは皮肉なものだと、筆者は中井に語らせています。

それから中文。余韻の残る会話に挟まれている場面を引用すると、

旅を続ける力って、なんだろう?

 

疲れ果てて、たとえ目的地にたどり着けなくても、旅を始めた場所に戻ること。 

 

なるほど。再見、コーデリア

再見には〈ゾイギン〉とルビが振られていることから、北京標準語ではなくここでの中文は香港語であることがわかります。意味は漢字の通り〈またね〉

遠い異国の地、キューバの自由を想いながら、香港の街で生きる中井優一の姿に、自分を重ね合わせることができるならば、この小説の世界に入り込んで、旅を始めることができるでしょう。

僕は、この本を読んでいる間、ずっとキューバリブレが飲みたかった。

 

マクベスをなぞる物語

本書のタイトルにあるマクベスとは、17世紀にシェイクスピアによって書かれた、「ハムレット」「オセロ」「リア王」に並ぶ4大悲劇の戯曲の1つです。11世紀に実在したスコットランドマクベスがモデルになっています。

本書は、中井優一がマクベスの戯曲に沿って生きていることに気づくことから物語が動き始めます。戯曲マクベスの終わり方を思うと、自分も愛する人も幸せな終わりを迎えることにはならないことは分かってしまう。そんな戯曲の影を背負いながら、なんとか自分自身の人生を手に入れようとする中井優一の物語が、本書です。「あなたは、王になって、旅に出なくてはならない」と言われる中井の旅の行く末を、追体験してください。

 

【映画】くるみ割り人形と秘密の王国

2019年5作目。

お気に入りの目黒シネマで鑑賞。ちょっと暇つぶしに観た感はあるが、映画初心者としては選り好みせずにいろいろ見るか、という感覚で鑑賞。

 

f:id:koheishiozaki39:20190202175319j:image

 

基礎知識ゼロなのでフィルマークスのあらすじを引用。

 

愛する母を亡くし、心を閉ざしたクララがクリスマスイブの夜に迷い込んだのは誰も知らない秘密の王国。(中略)亡き母がこの目を奪うほどに美しい世界に隠した〈真実〉を探す、驚くべき冒険の始まりだった

 

ふむふむ。そういう話だったのか。冒頭心地よく寝てしまい、まずストーリーの筋についていけず。ただたしかに秘密の王国の世界は美しくはございました。

 

フィルマークス眺めているとすでに指摘もあるが、主人公のクララが母を亡くした悲しみや、それがどのように彼女の思考•行動にどのように影響を与えているのかがもう少し表現されていると、彼女に感情移入できたかもしれない。

 

そういう意味では物語の筋は平凡。

わかりやすい勧善懲悪の世界観で、水戸黄門映画と呼んで差し支えなかろう。

 

原作は別にあるのかなあ。

その辺りも不明だった。

 

まあ、とりあえず記録。

【映画】君の名前で僕を呼んで/アデル、ブルーは熱い色

2019年3•4作目。

先週に続き目黒シネマで鑑賞。

この映画館がよいのは1500円で週替わりの2本を続けて観られることです。かつ、この2本にテーマ性があります。これ企画するの面白いだろうな。珠玉の2本を選んで、1週間で成果を出す。2本だからこその意味合いを、作らないといけないし。今回の2作は、青春×LGBTモノ。2本で5時間を超える滞在でしたが、かなり刺激的でございました。

 

君の名前で僕を呼んで

 

1980年代の北イタリアが舞台の作品。

17歳の少年エリオと、24歳大学院生オリヴァーの物語。Call me by your nameっていう原題、観ていくと「そういうことね」となります。なんでしょう、すべてが美しい作品ですね。エリオ役のティモシー•シャラメ。彼初めて観ましたが、彼の一挙手一投足が輝いてます。それから舞台となる北イタリアの土地。緑の瑞々しさ、繰り返し出てくる水泳シーンの水の透明さ。土地の美しさによって、エリオとオリヴァーの恋愛の純度が、何倍にも高まっていると思います。前半、話がなかなか進まず(というかストーリーがあるのか?と思うほど)まったりしますが、後半にかけて惹きこまれました。そしてけっこうオトナの描写もある。え、アプリコットそういう風に使うのwwみたいな。全体を通して、あたたかい休日の午後に、長い詩を眺め終えたあとのような気持ちになる映画でした。語りの少ない映画ですが、父親がエリオに語りかけるシーンがこの映画のベストシーンです。これをみるためだけでも、もう一度お金を払って観たいかもしれない。

 

君の名前で僕を呼んで - 映画情報・レビュー・評価・あらすじ | Filmarks映画

 

アデル、ブルーは熱い色

 

3時間に及ぶ長尺フランス映画。

青髪の芸術家エマに惚れた高校生のアデルの物語。タイトルの通り、青が効果的に使われています。そして『君の名前で僕を呼んで』以上に、ベッドシーンが長く激しい。レズビアンってこういう感じなの!と、衝撃を受けました。たぶん鑑賞しながら口ポカンと空いてたと思いますwwしかし、目黒シネマやりますね。2作観ると、LGBTを横串にして少年の恋と少女の恋と両方を感じることができる。この話は、長い割にはアデルがずっと変わらなくて、迷いや不安が消えない表情が印象的です。最後、エマと別れてしまうのだけど、それから彼女は幸せに生きられるのだろうか。『君の名前で僕を呼んで』のエリオくんより、アデルが心配。いくつか変わるチャンスはあったように思うのだけど。一方、青髪のエマ役、レア•セドゥの演技がものすごい。凄みを感じます。彼女を観る映画といってもよいかもしれません。

 

アデル、ブルーは熱い色 - 映画情報・レビュー・評価・あらすじ | Filmarks映画

【本】今こそ「奨学金」の本当の話をしよう-貧困の連鎖を断ち切る「教育とお金」の話-

2019年6冊目。

 

著者は本山勝寛氏。東大工学部(学士)→ハーバード教育大学院(修士)と歩んだ超エリートだが、家庭は苦しく、給付型奨学金や授業料減免制度などを活用した進学体験を持つ方です。本書の主張は、その経験がベースとなっており、これを補強する各種のデータが時折登場するという構造。ライトに読めます。1時間もあれば。副題にある「貧困の連鎖を断ち切る「教育とお金」の話」はちょっと大げさかな。貧困の連鎖を断ち切ると言い切るまでの、そこまで深い課題設定と解決策ではないかもです。基本的には、奨学金=悪ととらえられがちなイメージを、そんなことないよ、と主張している本です。 

 

いくつか挙げられている奨学金の誤解についての著者の主張をみていきます。

・(誤解1)利子が高くサラ金よりひどい

→(著者の主張)そんなことはない。奨学金最大手(という言葉遣いは正しくないかもしれないが)の日本学生支援機構の利子はあくまで「最大3%」。メディアなどでセンセーショナルに3%が取り上げられるが、そもそもサラ金なんかは15%とかザラにあるんだから全然マシ。それに、最大3%なのであって低金利の今の時代は、利子は0.01%(変動利率)、0.23%(固定利率)だよ

・(誤解2)延滞者が増えて奨学金地獄の世の中になっている

→(著者の主張)ものごとの一側面しか見ていない。確かに延滞者の実数は増えているが、そもそも大学生の数が大幅に増えており、かつ増えた分は学費の高い私立大学生な訳で、そもそもの奨学金貸与者(給付ではなく貸与)が増えている訳だから、延滞者実数増もむべなるかな。それに、貸与者全体に占める延滞者比率は下がっているのである(詳細な数字の主張は本書をご覧ください)

 

と、いう具合に悪玉奨学金(と言われる)制度の誤解払拭をする主張を展開し、世の中で言われているほど、奨学金は悪い制度ではないと仰ります(個人的にはそこまで世の中に奨学金悪玉論が展開されていると思っていないのだが)。とはいえ、僕自身も、在学時代4年間、日本学生支援機構の貸与型奨学金(有利子)を月10万・合計480万借りていました。確かに社会人になってから利子も含めた返済の負担はありましたが、おかげさまで学生時代は自由に学ばせていただきました。サラ金で借りていれば当然、利子はケタ違いだったでしょうから、それに比べれば日本学生支援機構の利子は良心的だったと僕は思っています。

 

ただし、著者自身も現在の日本の奨学金のほとんどが貸与型(返済が必要。無利子型と有利子型にさらに分岐する)に傾斜しており、給付型(返済が不要)が少ない点は課題として挙げていました。日本は、国際的にみても高等教育の家計負担が多い国です(一方、初等・中等教育の家計負担は世界標準よりも低い)。この事実も挙げたうえで、著者は給付型奨学金ないし、下記に挙げる授業料減免制度の拡大を主張されていました。

 

次に、意外と知られていない「大学授業料減免制度」に話が移ります。これは実質的な給付型奨学金(返済不要)であるにもかかわらず、報道等が少なく認知が行き届いていないと課題設定をしています。制度としては、

 

  • 国公立大学と一部の私立大学で、授業料の全額または半額になる制度
  • 具体的には、国公立大学の授業料は年間約53.8万(2017年)だから、4年間で215万の給付型奨学金と同じ価値のある制度である
  • 要件は「成績」と「家庭の経済状況」だが、成績は厳しい基準ではないため、実質的には「家庭の経済状況」がキー
  • その「家庭の経済状況」だが、そこまでハードルは高くない
  • 具体的には、ざっくり世帯収入500万~700万(※世帯数によって式は異なる)

と、いう概要です。これは確かに知っておいて損はないですね。著者自身もこの制度を活用して、東大在学時代の授業料を賄ったそうです。

 

あとは海外の大学の比較などが取り上げられますが、ここでは割愛。そんな感じの本です。